【中小企業の未来を守る】製造業の事例から学ぶ「事業承継」成功のポイント

はじめに:いま多くの中小企業が直面している「後継者問題」

みなさん、こんにちは。MAITコンサルティング北川です。

日本の中小企業、とくに製造業は、長年にわたり地域の雇用を支え、独自の技術で産業を下支えしてきました。しかし現在、多くの企業が「事業承継(=会社を次の世代へ引き継ぐこと)」という大きな課題に直面しています。

特に経営者が高齢を迎える中で、「誰に会社を継がせるのか決まっていない」という企業が非常に多いのが現実です。

たとえば中小企業庁の調査では、2025年までに70歳を超える経営者のうち約半数が後継者未定という結果も出ています。このままでは、技術や雇用、取引先との関係など、大切な資産がそのまま消えてしまう可能性があります。

実際の例:スマホアクセサリーメーカーB社の事業承継

ここでは、私が支援したスマートフォンアクセサリーの製造を行うB社(従業員約80名)の事例をご紹介します。

B社は、スマートフォンケースやワイヤレス充電器、保護フィルムなどを設計・製造するメーカーで、東京都内に本社と海外に小規模な自社工場を構えていました。OEM生産を得意としており、大手流通やECブランドと直接取引していたことから、安定した収益基盤を持っていました。

しかし、創業社長が健康面の不安もあり、数年以内に引退を考えるようになりました。

B社の課題

  • 息子は別の業界で独立しており、後継の意思がない
  • 商品企画やクライアント対応が社長に集中していた
  • 設計データや取引先との仕様共有が属人的だった
  • 業績は安定していたものの、すべて手管理、手計算での経理や勤怠管理など経営の効率化に課題を抱えていた

どのように承継を実現したか?

私たちは、親族や社員への引き継ぎではなく、第三者承継(M&A)という選択肢を社長に提案しました。

このケースでは、PC周辺機器を製造する中堅企業(C社)が、商流と製品群を強化する目的でB社に関心を示しました。

以下の手順でプロジェクトを進行:

ステップ①:強みの見える化

B社の価値は、「短納期対応力」と「取引先の多様さ」「安定した品質の高さ」にありました。これを数字や資料で可視化し、他社に伝わるよう整理しました。

ステップ②:業務の標準化

属人化していた商品企画や発注管理をマニュアル化。中期経営計画も共有できる体制に整え、引き継ぎやすくしました。

ステップ③:買い手企業との交渉

B社の柔軟な開発力とC社の量産体制がうまく噛み合うことが確認され、約6ヶ月で基本合意に至りました。

結果

結果、B社はC社グループの一員として再スタートを切りました。既存の従業員は全員雇用継続。社長も「顧問」として半年間在籍し、主要な取引先との関係や商品企画のノウハウを丁寧に引き継ぎました。

新体制ではEC販売にも注力し、売上は前年から約120%増加。B社の「企画力」とC社の「販売力」が融合し、さらなる成長が期待されています

製造業の事業承継が難しい理由とは?

スマホアクセサリーのようなトレンド変化が早い業界でも、事業承継には次のような共通の課題があります:

  • ノウハウや業務が社長個人に依存している
  • 商品データや設計情報の共有が進んでいない
  • 取引先との信頼関係が個人ベースで築かれている
  • 小規模であるがゆえに、買い手企業に見つけてもらいにくい
  • 経営管理のIT化の遅れ

これらの課題をクリアするには、第三者の視点や専門家のサポートが不可欠です。

事業承継をスムーズに進めるための5つのステップ

1. 会社の現在地を知る(現状整理)

2. 誰に継いでもらうのがベストかを考える(選択肢の検討)

3. 会社の魅力を「見える化」する(価値評価)

4. 適切な相手と出会い、話し合う(マッチングと交渉)

5. スムーズな引き継ぎを行うための計画を立てる(移行支援)

自身でこれらを客観的に整理するのは難しい場合は、M&Aコンサルティングなどの専門家に任せるのも選択肢です。M&Aは相手あってのことですので、自社の客観的な価値や課題を第三者に評価してもらうことで、より良い条件を獲得することにもつながります

最後に:会社は次の世代へつなぐ「社会の資産」

会社を次の人に託すことは、簡単なことではありません。
ですが、あなたの会社が持つ技術、商品、取引先、従業員――
それらはすべて、次の世代へと引き継ぐべき大切な財産です。

「まだ少し先の話かもしれない」
「でも、頭の片隅にはある」
そう感じた方は、ぜひ一度、気軽にご相談ください。

私たちは、中小企業の未来を守るお手伝いをしています。

MAITコンサルティングでは20年以上にわたりM&Aを大手証券会社や外資系投資銀行で行ってきたプロフェッショナルが、経営の見える化などM&Aの準備段階から、皆様の事業承継などをしっかりとサポートします。

ご関心のある方はぜひお問い合わせください。弊社は、皆様の事業承継の成功や創業者利益の獲得、M&Aを通じた会社や社員の皆様の成長などを実現するサポートできれば幸いです

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Akira Kitagawa
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