クロスボーダーM&Aは難しい?成功のために知っておきたいポイント

グローバル化が進む現代において、クロスボーダーM&A(国境を越えた企業の合併・買収)は企業の成長戦略としてますます重要性を増しています。しかし、「クロスボーダーM&Aは難しい」と言われることが多いのも事実です。実際、国内M&Aと比較して、文化、法律、会計、税務など多くの違いが障壁となるケースが少なくありません。

本記事では、クロスボーダーM&Aがなぜ難しいとされるのか、その要因とリスク、そして成功のための対策について多角的に解説します。


【目次】

  1. クロスボーダーM&Aとは?
  2. クロスボーダーM&Aが難しいとされる理由
  3. 主なリスクとその対処法
  4. 成功のための実務上のポイント
  5. 成功事例から学ぶ実践知
  6. まとめ

クロスボーダーM&Aとは?

クロスボーダーM&Aとは、異なる国に本拠を持つ企業同士で行うM&Aのことを指します。例えば、日本企業が東南アジアのスタートアップを買収する、欧米企業と合弁会社を設立する、といったケースが該当します。

主な目的

  • 海外市場への進出
  • 現地ネットワークの獲得
  • 生産拠点の確保
  • 人材や技術の獲得

2. クロスボーダーM&Aが難しいとされる理由

クロスボーダーM&Aには以下のような複雑な課題があります。

① 法制度の違い

各国で会社法、労働法、独占禁止法、外資規制などが異なるため、契約交渉やPMI(買収後統合)において高度なリーガルサポートが必要です。

② 税務・会計基準の違い

日本の会計基準とIFRS(国際会計基準)では資産評価や連結処理に違いがあるため、財務デューデリジェンスの難度が高まります。

③ 文化・言語の壁

意思決定のスピード、企業文化、働き方の違いなどから、経営統合の摩擦が起きやすく、経営層間の信頼構築にも時間を要します。また言語の違いは多くのクロスボーダーM&Aでの大きなチャレンジである点は否めません。

④ 情報の非対称性

特に新興国では、正確な財務情報やコンプライアンス情報が得られないことも多く、リスクの見極めが難しくなります。


3. 主なリスクとその対処法

リスク内容対処法
法的リスク規制違反や契約無効など現地法律事務所との連携
税務リスク二重課税や移転価格問題国際税務の専門家の起用
経営統合リスク人材流出、現地経営者の離反統合計画(PMI)の策定と説明責任
為替・政治リスク為替変動、政変による混乱ヘッジ戦略やカントリーリスク評価

4. 成功のための実務上のポイント

● 戦略との整合性を明確にする

「なぜこの国・この企業を買収するのか?」という戦略的目的を明確にし、社内外のステークホルダーに納得感を持たせる必要があります。

● 経営統合(PMI)を重視する

買収はスタートに過ぎません。統合フェーズで失敗する事例も多く、クロスカルチャーマネジメントや現地従業員との対話が鍵になります。

● 現地専門家とのネットワークを構築する

現地法律事務所、会計事務所、M&Aアドバイザーなどと連携し、多言語対応かつ信頼性のある情報網を構築することが重要です。


5. 成功事例から学ぶ実践知

■ キヤノンによるオランダAxis社の買収

欧州での監視カメラ分野強化を目的とした買収。現地経営陣の独立性を尊重し、段階的な統合を行うことで成功を収めました(出典:キヤノンIR資料)。

■ アサヒグループによる豪州事業の取得

ブランドのローカル活用を前提とし、マーケティングや販売網の統合に慎重を期す形で現地市場に定着(出典:アサヒグループIR情報)。


6. まとめ

クロスボーダーM&Aは確かに難易度が高い取引ですが、事前準備と専門的なサポート体制が整っていれば成功の可能性は十分にあります。一方で、軽視できない法務・財務・文化のリスクも存在しますので、専門家との連携が不可欠です。


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Akira Kitagawa
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