持分法適用で変わる中小企業のM&A戦略〜fonfunによるM&A DX社株式取得の狙いを読み解く

はじめに
2025年7月、IT系中小企業である株式会社fonfun(東京都)が、M&Aプラットフォームを運営する株式会社M&A DXの株式を取得し、持分法適用会社化することを発表しました。本件は、単なる資本提携にとどまらず、中小企業が“協業型M&A”を通じてDX(デジタルトランスフォーメーション)推進や事業領域の拡大を目指す象徴的な動きといえます。
本記事では、この事例をもとに「持分法適用」とは何か、そのメリット・デメリット、中小企業における戦略的な活用方法について解説します。
fonfun × M&A DX:今回の提携の概要
- 目的:成長領域であるM&A支援プラットフォーム事業への参入・シナジー創出
- スキーム:M&A DX社の株式を一部取得し、fonfunの持分法適用会社とする
- 狙い:相互の顧客基盤・ノウハウを活用した協業展開、ITを活用した地方企業支援の加速
持分法適用とは?
「持分法適用会社」とは、他社に対して20%以上の議決権を保有し、重要な影響力を有する場合に用いられる会計処理手法です。親会社とは異なり、完全支配ではなく、戦略的提携や協業関係に近い立ち位置となります。
メリット
- 資本リスクを抑えながら成長市場へ参入可能
- 意思決定に一定関与できるため、ガバナンスを維持
- 連結対象外のため、財務負担を限定的にできる
デメリット
- 経営統合ではないため、意思決定が限定的
- シナジー実現には戦略的整合性と運用体制の確保が不可欠
中小企業にとっての戦略的活用法
fonfunの事例から読み取れるのは、完全買収(100%取得)にこだわらず、段階的・協業的なM&Aスキームが有効に働くケースが増えているという点です。
活用シーンの例:
- 技術力を持つスタートアップとの連携(IT・医療・製造)
- 地域密着型の企業との資本業務提携
- 後継者不在の企業への段階的出資(将来的な完全買収も視野)
実務上の留意点
- 契約設計の重要性:業務提携契約・株主間契約・議決権割合の定義
- 会計・税務インパクトの把握:持分法適用に伴う損益計上や税務調整の検討
- 情報開示・IR対応:上場企業の場合、適時開示義務や社内手続の整備が必要
まとめ
今回のfonfunとM&A DX社の提携は、買収=支配という従来型のM&A発想を超えた、「共創型M&A」の流れを象徴しています。中小企業にとっても、持分法適用のような柔軟なスキームを活用することで、資本と戦略の両面から成長を加速させる選択肢が広がっています。
早期からの情報収集と専門家の関与により、リスクをコントロールしつつ機動的な経営戦略を実行することが求められます。
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