2025年最新:日本のM&Aトレンド総まとめ
みなさん、こんにちは。MAITコンサルティング北川です。
2024年から2025年にかけて、日本のM&A市場は大きな変化と成長を遂げています。本記事では、最新の統計データと業界別の動向、注目の事例を交えて、現在のM&A市場の全体像を解説します。
📈 M&A市場の全体動向:件数・金額ともに過去最高を更新
- 件数の増加:2024年の日本企業によるM&A件数は4,700件に達し、過去最多を記録しました。
- 金額の増加:2024年のM&A取引総額は前年比44.6%増の1,487億ドルとなました。
- 特に注目を浴びた継続中の大きな案件としては、カナダのAlimentation Couche-Tard(ACT)は、2024年8月にセブン&アイ・ホールディングスに対して、1株あたり14.86ドル、総額約385億ドルの買収提案を行いました。しかし、セブン&アイはこの提案を「企業価値を著しく過小評価している」として拒否しました。
- その後、ACTは2024年10月に提案額を1株あたり18.19ドル、総額約470億ドルに引き上げました。この新たな提案は非公開かつ拘束力のないものであり、セブン&アイは引き続き慎重に検討を進めています。
- 実現可能性はまだまだ不透明ですがこの買収が実現すれば、日本企業に対する過去最大の海外買収となる可能性があります。
以下は、2024年に公表された日本企業が関与したM&A案件のうち、取引金額が上位10件の一覧です。(出典:KPMGジャパン、日経テレコン)
順位 | 買収企業(買い手) | 売却企業(売り手) | 取引金額(億円) | 公表日 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 日本生命保険 | レゾリューション・ライフ(豪州) | 12,500 | 2024/12/11 | クロスボーダー案件 |
2 | ルネサスエレクトロニクス | アルティウム(米国) | 8,897 | 2024/02/15 | クロスボーダー案件 |
3 | 積水ハウス(SHレジデンシャルHD) | MDC(米国) | 7,711 | 2024/01/19 | クロスボーダー案件 |
4 | 日本ペイントホールディングス | AOCなどを傘下に持つ持株会社(米国) | 6,307.5 | 2024/10/29 | クロスボーダー案件 |
5 | 平和 | 非公開 | 5,120 | 2024/12/19 | 国内案件 |
6 | 三菱ケミカルグループ | 田辺三菱製薬(日本) | 5,100 | 2024/11/15 | 国内案件 |
7 | 日本たばこ産業(JT) | 非公開 | 3,780 | 2024/08/22 | 国内案件 |
8 | 小野薬品工業 | 非公開 | 3,760.8 | 2024/05/01 | 国内案件 |
9 | SCSK | 非公開 | 3,578.5 | 2024/11/07 | 国内案件 |
10 | 明治安田生命保険 | スタンコープ・ファイナンシャル・グループ(米国) | 2,956.6 | 2024/08/15 | クロスボーダー案件 |
🔍 業界別の注目トレンド
1. IT・スタートアップ業界
- 成長戦略としてのM&A:大手企業がミドルティアやニッチ市場の企業を買収する動きが顕著で、技術革新を加速させています。
- 生成AIの活用:M&Aプロセスにおける生成AIの活用が進み、手作業の削減やプロセスの短縮、コストの削減といったメリットが報告されています。
2. 小売・流通業界
- 大型買収の増加:セブン&アイ・ホールディングスに対するクシュタール社の買収提案など、大型のクロスボーダーM&Aが増加しています。
- 事業再編の加速:国内外の競争激化に対応するため、事業ポートフォリオの見直しや再編が進行中です。
3. 製造・エネルギー業界
- 再生可能エネルギーへの移行:世界的な再生可能エネルギーへの移行が、石油・ガスセクターの再編を加速させています。
- ディストレストM&Aの増加:自動車、小売、一部の不動産アセットクラスでは苦境が深刻化しており、ディストレストM&Aが増加しています。
🌍 クロスボーダーM&Aの活発化
- 海外企業による日本企業の買収:日本企業が買い手となるクロスボーダー案件は、米国の企業を対象とした案件が多く、円安の影響もあり、引き続き米国市場は日本企業にとって魅力的な市場とされています。
- 日本企業による海外企業の買収:日本企業が海外企業を買収するIn-Out型M&Aは、コロナの影響で縮小しましたが、2021年以降は回復傾向にあります。
🧠 生成AIとM&Aプロセスの変革
2024年は、M&A業務に生成AIを活用する動きが加速しました。生成AIの活用で、手作業の削減、プロセスの短縮、コストの削減といったメリットが報告されています。特に、ソーシングやスクリーニング、デューデリジェンスの効率化で効果を発揮しています。
🏁 まとめと今後の展望
日本のM&A市場は、後継者不足、事業再編、生成AIの活用、クロスボーダー取引の増加など、さまざまな要因が重なり、活発化しています。今後もこれらのトレンドが継続し、M&A市場はさらなる成長が期待されます。特に、中小企業の事業承継問題や、海外市場への進出を目指す企業にとって、M&Aは重要な戦略となるでしょう。
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