SDGsとM&A:企業価値を高める持続可能な統合戦略とは?

みなさん、こんにちは。MAITコンサルティング北川です。

近年、SDGs(持続可能な開発目標)への対応が企業経営にとって不可欠となっています。その一方で、M&A(企業の合併・買収)は依然として成長戦略や事業転換の有力な手段とされています。この二つのテーマは一見すると別の領域に思えるかもしれませんが、実は密接に関係しています。

本記事では、SDGs視点がM&A戦略にどのように影響を与え、また企業価値の向上につながっているかを、データや事例を交えてわかりやすく解説します。

なぜ今、「SDGs × M&A」なのか?

ESG・SDGs重視の投資が急増中

ESG投資(環境・社会・ガバナンスを重視する投資)は、世界的に拡大しています。

世界のESG投資残高は2022年時点で33兆ドル超。これは全運用資産の36%に相当
出典:Global Sustainable Investment Review 2022(GSIA)

この潮流を受けて、企業は「収益性」だけでなく「持続可能性」や「社会的インパクト」を考慮した経営が求められています。M&Aも例外ではなく、SDGsと整合性のある企業買収や統合は、投資家やステークホルダーから高い評価を受けやすくなっているのです。

SDGsを意識したM&Aの3つのトレンド

1. グリーンM&A:脱炭素化に向けた企業統合

例:伊藤忠商事が再生可能エネルギー関連企業を買収

伊藤忠は2021年、スペインの太陽光発電事業者を買収。これによりScope1・2のCO2排出削減を加速させています。これはSDGsの目標7(エネルギー)・13(気候変動)に合致したM&Aです。

出典:伊藤忠商事 プレスリリース 2021年10月


2. サーキュラー・エコノミーを実現するM&A

廃棄物削減・資源の再利用は、SDGs目標12(つくる責任つかう責任)に直結します。

例:大王製紙が紙おむつリサイクルベンチャーを買収(2022年)
同社はベンチャー技術を自社工場に導入し、廃棄物処理コストの削減とブランド価値向上を両立。

出典:日経新聞 2022年3月「大王製紙、サーキュラー戦略でM&A」


3. 社会課題解決型M&A:人材・医療・教育領域への拡大

SDGsは人権・教育・医療といった社会課題への取り組みも重視しています。

例:パーソルHDによる医療人材派遣企業の買収(2020年)
慢性的な医療人材不足に対応する形でのM&A。SDGs目標3(すべての人に健康)と8(働きがい)に合致。

出典:パーソルホールディングス プレスリリース 2020年6月


SDGsを意識したM&Aは企業価値を高める

以下の調査結果は示唆に富んでいます。

SDGsに取り組む企業の株式リターンは、平均で10%上昇(3年内)
出典:Bloomberg ESG Investment Survey(2022年)

また、PwC Japanの2023年レポートによると、

SDGsをM&A判断基準に組み込んでいる日本企業の割合は46%に達し、前年比+12ポイントの上昇
出典:PwC Japan「SDGsと経営統合に関する調査2023」

これは単なる流行ではなく、企業の長期的競争力を左右する基準になっていることを示しています。


おわりに:これからのM&Aに求められる視点

今後のM&Aでは、財務シナジーやコスト削減だけでなく、SDGsとの整合性や社会的意義が重視される時代になります。

経営陣やM&A担当者にとって、SDGsを「外部圧力」ではなく「戦略の軸」として捉えることが、企業価値を飛躍的に高めるカギとなるでしょう。

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Akira Kitagawa
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