【中小企業経営者向け】為替変動がM&Aに与える影響とは?リスクと対応策を徹底解説

はじめに:為替がM&Aに関係する理由とは?

みなさまこんにちは、最近円高が急速に進んでいますね。MAITコンサルティング北川です。M&Aと為替。一見すると直接関係がなさそうに見えるこの2つの要素は、実は企業の買収や売却において非常に重要な意味を持ちます。特に海外企業とのクロスボーダーM&Aや、外資系企業による日本企業の買収、または輸出入比率が高い企業の評価において、為替変動の影響は無視できません。

本記事では、中小企業の経営者の皆さまに向けて、為替の変動がM&Aにどのような影響を与えるのか、そしてそのリスクへの対応策を分かりやすく解説します。


1. M&Aにおける為替リスクとは?

為替変動が影響する主なポイント

  1. 買収価格の変動
    海外企業を買収する際には、通常は現地通貨で取引が行われます。為替レートが変動すると、日本円換算での買収金額が変わり、予算オーバーや逆に割安になることもあります。
  2. 企業価値評価への影響
    売上や利益の多くを外貨で計上している企業(輸出型企業や海外子会社を多く持つ企業)や原材料の調達を海外から外貨建てで行っている企業は、為替レートによって企業価値が上下します。これにより、買収側・売却側のいずれにとっても交渉の条件が変わる可能性があります。
  3. 資金調達コストの変化
    為替変動により海外資金の調達コストや、円建て借入の返済負担にも影響が出ます。

2. 為替変動が与える実務上の影響

交渉プロセスにおける影響

為替レートの急激な変動があると、買収価格の見直し交渉が発生することがあります。特に、意向表明から最終契約締結までに数ヶ月かかるM&Aでは、この期間の為替変動リスクは無視できません。

契約書上の配慮点

SPA(株式譲渡契約書)などの契約書には、「為替条項(Currency Adjustment Clause)」を設けるケースもあります。これは、為替レートが一定以上変動した場合に、価格の調整を行う仕組みです。


3. 為替リスクへの対応策

① 為替ヘッジの活用

為替予約(Forward Contract)や通貨オプションを活用して、為替変動リスクを一定程度カバーすることができます。金融機関と連携しながら、M&Aスケジュールに合わせたリスクヘッジ戦略を構築しましょう。

② 日本円建てでの取引交渉

売り手・買い手が海外企業の場合には、交渉の中で、日本円建てでの買収価格を提示することもリスク回避の一つです。ただし、相手方との合意が必要であり、交渉力が問われます。

③ 複数通貨でのバリュエーション試算

初期の企業価値評価(バリュエーション)において、複数の為替シナリオを想定し、リスクに強い価格帯をあらかじめ設定しておくと、後の交渉がスムーズに進みます。


4. 実際の事例に学ぶ:円安局面で増える外国企業による買収

近年の急速な円安を背景に、日本企業を買収する外国企業の動きが活発化しています。たとえば、2022年以降、アメリカや中国の企業が円安を好機と捉え、日本企業への買収提案を増やしています(出典:M&A Online)。

中小企業であっても、ニッチな技術や地域での強みがある企業はターゲットになりやすく、想定以上に高値で売却できるケースもある一方、知らぬ間に資産価値を割安に評価されるリスクもあります。


5. 中小企業経営者が意識すべきポイントまとめ

  • 為替はM&Aの重要なファクター。特にクロスボーダー案件では早期に専門家に相談を。
  • ヘッジ手段や契約面での配慮を通じて、想定外の損失を防ぐ。
  • 円安・円高どちらもチャンスとリスクが共存していることを理解する。

おわりに

為替とM&Aの関係は、専門的に見えるかもしれませんが、実は中小企業の経営判断に直結する重要な要素です。特に近年は、為替変動が激しく、M&A戦略の策定において無視できない要因となっています。

将来的な売却や海外展開を視野に入れている経営者の皆さまは、為替の基本的な影響と対応策について、あらかじめ理解を深めておくことが重要です。


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Akira Kitagawa
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