小型IPOが困難に 今こそM&Aによる成長戦略が求められる

東証グロース市場の新基準が突きつける現実

みなさん、こんにちは。MAITコンサルティング北川です。2025年4月、東京証券取引所はグロース市場に上場する企業の上場維持基準を大幅に引き上げる方針を発表しました。新基準では、上場から5年以内に時価総額100億円に達しない企業は上場廃止となる可能性があります。

これまでの「10年で40億円以上」から大きくハードルが上がったこの変更は、報道によれば「名ばかり成長企業」の淘汰と市場の新陳代謝を促す狙いがあります。

実際、現在グロース市場に上場している約600社のうち約7割が100億円未満の時価総額にとどまっており、今回の基準変更が多くの企業に影響を与えることは明らかです。

IPOの選択肢が狭まるベンチャー企業たち

この厳格化により、VC(ベンチャーキャピタル)やスタートアップ経営者にとってはIPOによる資金調達や回収やの道が遠のくことになります。証券会社もリスクを嫌い、時価総額200億円程度の企業を主幹事の対象とする可能性が高まっており、「IPO難民」となる企業の増加が懸念されています。

さらに、日本には未上場株式を自由に売買できるインフラが整っておらず、流動性確保が極めて難しいのが現状です。これに対し、米国では未上場株式のセカンダリーマーケットが急成長しており、スタートアップの成長資金の循環が促進されています。

M&Aが成長の「現実解」に

こうした背景から、IPO以外の成長戦略としてM&Aの重要性が一段と高まっています。

とりわけ以下のようなケースでは、M&Aが有効な選択肢となり得ます:

  • 事業のスケールアップ:上場基準を満たすために、同業他社や隣接分野の企業を買収し、売上・利益規模を拡大
  • 資金調達代替手段:株式公開に頼らず、M&Aによる提携や出資を通じて必要な資金・リソースを獲得
  • 市場信頼の獲得:知名度や実績のある企業と統合することで、市場からの評価を高め、機関投資家の関心を引きやすくする

また、M&Aは株主構成や経営体制を柔軟に維持しやすく、IPOに比べて経営の自由度が高いというメリットもあります。

スタートアップ・中堅企業こそ、M&Aを戦略に組み込むべき時代へ

これからの成長企業に求められるのは、単なるスピードではなく持続的な競争優位と資本効率です。上場のみに依存せず、M&Aを戦略的に活用することで、多様な資金調達ルートや事業拡大の選択肢を確保することが不可欠です。

東証の新制度により、日本企業の上場環境は大きく変わろうとしています。この転換期において、企業は「上場か否か」ではなく、「どう成長するか」を軸に中長期の戦略を描くことが求められています。


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Akira Kitagawa
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