事業承継M&Aの成功事例から学ぶ、譲渡価格を高める3つの視点

中小企業経営者にとって「いかに高く、自社を評価してもらうか」は、事業承継型M&Aにおける重要な関心事です。特に、後継者不在の中で第三者への譲渡を検討する経営者にとって、譲渡価格は新たな事業の起業資金や、老後資金、従業員の将来、会社の継続に関わる極めて重要な要素です。
本記事では、実際の成功事例を踏まえながら、譲渡価格を高めるための3つの具体的な視点をご紹介します。
【1】収益性の「見える化」と正常収益力の提示
多くの中小企業では、経営者の役員報酬や家族給与、私的経費が損益計算書に混在しています。そのままでは正確な企業価値が伝わらず、「本来の収益力」が過小評価されがちです。
✅ 成功事例:建設業のA社(年商5億円、埼玉県)
A社はオーナー社長の給与が非常に高く、また個人利用の経費が年間数百万円計上されていました。M&Aコンサルティング会社のアドバイスを受けて「正常収益ベース」での調整後EBITDAを算出し、買い手に対してわかりやすく提示。結果として、当初提示額より約1.4倍の譲渡価格での成約となりました。
🔎 ポイント
- 調整後損益表(ノーマライズ)を事前に作成する
- 一過性費用・非経常項目を明確に分類
- 業績説明資料を「ストーリー化」して提示
【2】「経営依存度」を下げてチーム体制をアピール
オーナー個人に強く依存する会社は、「オーナーが抜けたら崩壊するリスク」を懸念され、譲渡価格が下がる傾向にあります。逆に、組織的に運営されている企業は、買収後の統合(PMI)がスムーズに進むため、高評価を得やすくなります。
✅ 成功事例:製造業のB社(大阪府・従業員25名)
B社は創業社長が高齢でしたが、製造部門のマネージャー層が育っていたことを丁寧に資料で説明。特に、社長不在時の業務継続体制(バックアップ体制)や、定着率の高さを裏付けるデータを提示したことで、買い手企業からの信頼を獲得し、業界平均より高いマルチプル(売却価格算定上の倍率)での売却に成功しました。
🔎 ポイント
- 社内キーパーソンのリスト・紹介
- 標準業務マニュアル(SOP)や引き継ぎ体制を準備
- 従業員満足度や離職率データがあれば評価UP
【3】成長ポテンシャルを「数字と言葉」で可視化
買収企業にとっての魅力は、過去の実績だけでなく「将来の成長余地」にあります。自社単独では展開できなかった販路、IT導入、海外展開などのポテンシャルを明示できれば、譲渡価格の上昇につながります。
✅ 成功事例:食品卸のC社(東京都)
C社は地域密着型で営業していたが、EC展開や関東以外への展開には未着手だった。これを「成長の余地」として提示し、買い手が持つECノウハウとのシナジーを丁寧に説明。結果として、「買収後の成長を織り込んだ企業価値評価」がなされ、期待値の高い価格で成約しました。
🔎 ポイント
- 展開可能な商圏、チャネル、商品ラインを資料化
- シナジー仮説をM&A仲介会社と一緒に構築
- SWOT分析を用いて魅力を論理的に整理
まとめ:譲渡価格を高めるために、準備と戦略が不可欠
事業承継M&Aは、単に「売りたい」と思ってすぐに始めても、納得のいく価格では売却できません。重要なのは、“買い手にとっての価値”を見せる工夫と準備です。
譲渡価格を引き上げるためには:
- 正常収益力の「見える化」
- 組織運営力のアピール
- 成長余地の可視化
この3つの視点を意識した準備が、成功への第一歩になります。
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