M&Aの“見えないリスク”を防ぐ!中小企業経営者が知っておくべきデューデリジェンスの基本

はじめに:なぜデューデリジェンスが重要なのか?

中小企業のM&Aでは、「思ったよりもスムーズにいった」と語る経営者もいれば、「買収後にトラブルが発覚した」「譲渡価格に納得できなかった」と振り返る方もいます。その違いを分ける要因の一つが、デューデリジェンス(Due Diligence(企業査定)、以下DD)の進め方です。

DDとは、M&Aの対象企業について、財務・法務・税務・ビジネス面などを多角的に調査・分析するプロセスのこと。企業の価値を正しく把握し、リスクを見極めるために不可欠なステップです。

この記事では、中小企業の経営者が最低限押さえておきたいDDの基本と、実務上の留意点を分かりやすく解説します。


デューデリジェンスの目的とは?

デューデリジェンスの主な目的は以下の3つです。

  1. 企業価値の適正評価
    • 買収価格が妥当かどうかを判断するための材料を集めます。
  2. リスクの洗い出し
    • 潜在的な債務、訴訟リスク、労務問題、税務問題などを明らかにします。
  3. 契約条件の調整材料
    • 買収後のリスクを踏まえ、契約上の表明保証や価格調整条項を設定します。

中小企業M&Aにおける主なデューデリジェンスの種類

1. 財務デューデリジェンス(FDD)

  • 目的:収益性・資金繰り・負債の正確な把握
  • 重点項目
    • 過去3〜5年分の財務諸表
    • 売上・粗利・営業利益の推移
    • 資金繰り・債務状況
    • 在庫や売掛金の評価
    • キャッシュフロー

2. 法務デューデリジェンス(LDD)

  • 目的:法的リスクの有無を確認
  • 重点項目
    • 各種契約書(取引先、労務、賃貸借など)
    • 訴訟・係争の有無
    • 許認可・知的財産の状況
    • 労務管理(未払残業、就業規則)

3. 税務デューデリジェンス(TDD)

  • 目的:税務リスクの洗い出しと最適なスキーム選定
  • 重点項目
    • 過年度の税務申告内容
    • 税務調査歴と指摘事項
    • 繰越欠損金や役員報酬などの取扱い

4. ビジネス・コマーシャルDD(事業性DD)

  • 目的:事業の競争力・継続性の見極め
  • 重点項目
    • 顧客構成やリピート率
    • 主力商品の競争力
    • 市場動向や業界ポジション
    • 今後の成長性や持続可能性 等

中小企業経営者が留意すべきポイント

✅ 売り手経営者向けの注意点

  • 資料の準備がDDの質を左右する
    → 正確かつタイムリーな情報開示が信頼性につながります。
  • 経営実態とのギャップをなくす
    → 経費の私的流用や家族への名目人件費などは早めに整理を。
  • これらについては、M&Aコンサルティングなどの専門家による整理が効果的です

✅ 買い手経営者向けの注意点

  • 「見えない債務」を見逃さないこと
    → 未払い残業代や簿外債務はDDで重点的に確認を。
  • 数字だけでなく“人”も見る
    → キーパーソンや従業員の引き継ぎ意志がない場合、統合が難航する可能性も。

よくある失敗事例と教訓

【失敗事例】買収後に未払い残業代が1,000万円発覚

関東の製造業で、買収後に元従業員から訴訟が起こり、労務DDが不十分だったことが原因と判明。売り手と買い手間の信頼関係も崩れ、再交渉に発展しました。

教訓:売り手も買い手も、「何を開示するか・何を見るか」を明確にして、専門家の支援を受けることが重要です


まとめ:DDは“お互いの信頼”を築くプロセス

デューデリジェンスは、「買い手が売り手を疑うプロセス」ではなく、「両者が適正な条件で安心して取引をするための対話の場」です。

中小企業のM&Aでは、限られた情報と時間の中でリスクを最小限にする工夫が必要不可欠。だからこそ、経験豊富な専門家のサポートを得ながら、計画的に進めることが成功への近道です。


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Akira Kitagawa
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